大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和26年(ネ)2562号 判決 1952年3月15日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人等の請求を棄却する。訴訟費用は被控訴人等の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張並びに証拠の提出、認否援用は控訴代理人において、「原判決事実摘示中、二枚目裏六行目及び十一行目から十二行目に昭和二十三年十二月二十三日とあるは昭和二十三年十二月二十七日の誤りにつき訂正する。」とのべた外すべて原判決事実摘示と同一であるのでここにこれを引用する。

理由

最初の買収令書が被控訴人等に交付せられたのは昭和二十三年十二月二十七日であつたことは、原審証人岩瀬好次の証言によりこれをうかがいうるばかりでなく、被控訴人自ら同日であることを認めているのであるから、同日であるとなすの外ない。控訴人は、たとえ右買収令書記載の土地の大字名が間違つていたとしても、被控訴人等は右買収令書の交付により本件買収処分のあつたことを知つたものとなすのが相当であると主張しているようであるが、自作農創設特別措置法による農地等の買収令書の交付によつてなされるのであるから、本件のように、当初の買収令書に目的土地の記載について誤りがあり、権限ある係員がその返還をうけて破りすて新たに買収令書を作成して交付したような場合には、前の買収令書による買収処分を一旦撤回し改めて後の買収令書によつて買収処分をしたものと認めるのが相当であり、被控訴人等もまた前の買収令書による買収処分に対し出訴しているのではなく後の買収令書による買収処分に対して出訴しているのであるから、その出訴期間は後の買収令書交付の日である昭和二十四年二月二日から起算するのが当然である。

以上を附加する外、本案前の抗弁並びに本案に対する当裁判所の判断は、原審のそれと同一であるので、ここに原判決の理由の記載を引用する。

然らば、被控訴人等の本訴請求を認容した原判決は相当であり、控訴人の控訴は理由がないので、民事訴訟法第三百八十四条第九十五条第八十五条を適用して主文のとおり判決した。(昭和二七年三月一五日東京高等裁判所第四民事部)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例